法学入門: 第5講
権利の侵害と救済
違法と不法
- ①
- ⑴形式的違法:
法律の規定に牴触すること
- ⑵実質的違反:
法律の理念に反すること,反社会的
- ⑴形式的違法:
- ②
- ⑴違法:
形式的違法を重視 ↔ 適法
違法建築,違法駐車 など
- ⑵不法:
実質的違反を重視 ↔ 合法
不法侵入,不法投棄 など
- ⑴違法:
不法行為(民709条)
- ①要件
- ⑴加害者の責任能力
- ⑵加害者の故意または過失
- ⑶被害者の権利または法益が侵害される
- ⑷被害者における損害の発生
- ⑸加害行為と損害との間の相当因果関係
- ②効果
- ⑴損害賠償請求権(金銭賠償の原則=民722条1項・417条)
- ⑵物権の侵害に対しては…物権的請求権も
- ⒜物権的返還請求権
- ⒝物権的妨害排除請求権
- ⒞物権的妨害予防請求権
※人格権その他の非財産的利益侵害(民法710条=身体・自由・名誉・氏名・肖像・プライバシーなど)に対しては……
- ▼東京地判昭39・9・28 下民集15巻9号2317頁(「宴のあと」事件)
※実在する人物をモデルにした小説がプライバシー権の侵害であると認められた例
- ⑶名誉(信用)回復措置請求権(723条)
- ⑷差止請求権
人格権侵害での例外
- ▼最大判昭61・6・11 民集40巻4号872頁(北方ジャーナル事件)
人格権としての名誉権侵害に対する差止請求は認められる
- ▼最判平14・9・24 判時1802号60頁(「石に泳ぐ魚」事件)
侵害行為(表現)の差止めが認められるかは、侵害行為によって受ける被害者側の不利益と侵害行為を差し止めることによって受ける侵害者側の不利益との利益衡量により決すべし
- ▼最大判昭61・6・11 民集40巻4号872頁(北方ジャーナル事件)
※知的財産権の侵害に対しては明文で差止請求権(特許100条,著112条など)