法学入門: 第3講
権利と義務
権利とは
- 一定の利益を主張または享受することを法により認められた地位
- 他人に対し一定の作為または不作為を求めることができる地位
権利の種類
- ①公法上の権利(公権): 国家と私人との権利義務関係
- ⑴国家的公権:刑罰権,警察権
- ⑵個人的公権:基本的人権(基本権,人権)
人が生まれながらにして当然に有している権利
……幸福追求権,自由権など(憲法)
- ②私法上の権利(私権)
- ⑴財産権:経済的な利益,経済的取引の客体を目的とする権利
- ⒜物権:物を支配する権利,絶対的・対世効
- ⒝債権:特定の人に特定の事項を求める権利,相対的・対人効
- ⑵人格権:個人の人格に関する事項を目的とする権利
名誉権,プライバシー権 など
- ⑶身分権:親族関係に基づく権利
扶養請求権,親権 など
- ⑴財産権:経済的な利益,経済的取引の客体を目的とする権利
義務
権利に対する概念,従うべきこと
- ①公法上の義務
- ⑴憲法上の義務:
- 勤労の義務(憲27条1項)
- 納税の義務(憲30条)
- 教育を受けさせる義務(憲26条2項)
- ⑵刑法上の義務 →違反すると制裁(刑罰)
- ⑴憲法上の義務:
- ②私法上の義務
原則として義務の履行は任意 →履行されない場合は強制履行
私法上の権利・義務と法律行為
私法上の権利の得喪変更を生じるのが法律行為で,その要素が意思表示。
- ①法律行為
- ⑴契約:
二以上の相対する意思表示の合致
- ⑵単独行為:
一つの意思表示により成立する。遺言,(契約の)解除など。
- ⑶合同行為:
同一の方向に向けられた複数の意思表示。社団法人の設立行為など。
- ⑴契約:
- ②契約の成立と権利・義務の発生
「売買」(民法555条以下)契約を例に図で説明すると,当事者の一方からの「売る」という意思表示と他方からの「買う」という意思表示が合致することで売買という契約が成立し,それぞれ「売主」と「買主」という地位になり,双方に「債権」「債務」が発生する。このとき,売主と買主はいずれも「債権者」でもあり「債務者」でもあるということになり,双方互いに対価的関係にある債務を負担する(これを「双務契約」という)。