情報法(法情報学): 第6講
個人情報保護制度 Part 3
個人情報保護法
行政機関における個人情報の取扱い
※丸数字は OECD 8原則 に対応
- ①利用目的の特定(個人情報61条)
- ②利用・提供の制限(個人情報69条)
★例外
- ⑴法令に基づく場合(1項)
- ⑵
- ⒜本人の同意があるとき,または本人に提供する場合
- ⒝法令所定の所掌事務遂行に必要な限度での内部利用で,相当な理由があるとき
- ⒞他の行政機関等への提供につき,当該行政機関等の法令所定事務または業務遂行に必要な限度での利用で,相当な理由があるとき
- ⒟上記のほか
- もっぱら統計の作成または学術研究の目的のために提供するとき
- 本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるとき
- 保有個人情報を提供することにつき特別の理由のあるとき
- ③利用目的による保有の制限(個人情報61条2項)
「保有」には作成・取得・維持・管理が含まれる
- ④正確性の確保等(個人情報65条)
保有個人情報が過去または現在の事実と合致するよう努めなければならない
- ⑤
- ⑴安全確保措置&従業者の義務(個人情報66条・67条)
- ⑵保有個人情報の漏洩・滅失・毀損等があった際の個人情報保護委員会への報告等(個人情報68条)
- ⑥利用目的の明示(個人情報62条)
本人から直接書面(電磁的記録を含む)に記録された個人情報を取得するときは,あらかじめ本人に対して利用目的を明示しなければならない
★例外(=明示の必要なし)
- ⑴人の生命・身体・財産の保護のために緊急に必要があるとき
- ⑵利用目的を本人に明示することにより,本人または第三者の生命・身体・財産その他の権利利益を害するおそれがあるとき
- ⑶利用目的を本人に明示することにより,国の機関等が行う事務・事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき
- ⑷取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められるとき
- ⑦開示・訂正等・利用停止等(個人情報76条以下)
開示・訂正・利用停止
開示請求
- ①主体: 何人も(個人情報76条)
自己を本人とする保有個人情報の開示を請求できる
- ②相手方: 行政機関の長
- ③方式: 書面=開示請求書(個人情報77条)
- 開示請求者の氏名および住所・居所
- 開示請求に係る保有個人情報が記録されている行政文書の名称その他の開示請求に係る保有個人情報を特定するに足りる事項
※本人であることを示す書類の提示・提出を要する
- ④行政機関の長に開示義務(原則=個人情報78条1項柱書き)
- ⑤不開示事由(78条1項各号)
- ⑴開示請求者(本人)の生命・健康・生活・財産を害するおそれがある情報
- ⑵開示請求者以外の個人に関する情報(個人識別情報または個人の権利利益を害するおそれのある情報)
※例外の例外で開示
- 法令・慣行により開示請求者が知り得べき情報
- 人の生命・健康・生活・財産の保護のため開示が必要と認められる情報
- 公務員等の職務遂行に係る情報
- ⑶法人等に関する情報
- 開示することで当該法人等の権利利益を害するおそれがある情報
- 不開示約束情報で当該約束に合理性があるもの
- ⑷国の安全・外交等に関する情報
- ⑸犯罪捜査・公安等に関する情報
- ⑹審議・検討・協議に関する情報
- ⑺事務・事業に関する情報
※個人の権利利益保護の理由による裁量的開示(個人情報80条)
- ⑥存否応答拒否(個人情報81条)
- ⑦開示等決定(行政処分)
- ⑴開示請求者に書面で通知(個人情報82条)
- 全部開示
- 一部開示
- 全部不開示
- ⑵決定までの期間:30日以内(原則=個人情報83条・84条)
- ⑶第三者の意見書提出機会(個人情報86条)
- ⑴開示請求者に書面で通知(個人情報82条)
- ⑧開示等の実施(個人情報87条)
- ⑴
- ⒜文書・図画: 閲覧または写しの交付
- ⒝電磁的記録: その種別,情報化の進展状況等を勘案した行政機関所定の方法
- ⑵手数料(個人情報89条)
- ⑴
訂正請求
- ①主体: 何人も(個人情報90条)
自己を本人とする保有個人情報の訂正を請求できる
- 行政機関等の開示決定に基づき開示を受けた保有個人情報につき
- その内容が事実でないと思料するとき
- ※開示を受けた日から90日以内にしなければならない
- ②相手方: 行政機関の長
- ③方式: 書面=訂正請求書(個人情報91条)
- 訂正請求者の氏名および住所・居所
- 訂正請求に係る保有個人情報の開示を受けた日その他の当該保有個人情報を特定するに足りる事項
- 訂正請求の趣旨および理由
※本人であることを示す書類の提示・提出を要する
- ④訂正請求に理由があれば ⇨行政機関の長に訂正義務(個人情報92条)
- ⑤訂正等決定(行政処分)
- ⑴訂正請求者に書面で通知(個人情報93条)
- 訂正
- 訂正しない
- ⑵決定までの期間:30日以内(原則=個人情報94条・95条)
- ⑴訂正請求者に書面で通知(個人情報93条)
利用停止請求
- ①主体: 何人も(個人情報98条)
自己を本人とする保有個人情報につき以下のいずれかに該当すると思料するときはそれぞれの措置を請求できる
- ⑴保有個人情報の利用停止または消去
- 行政機関により適法に取得されたものではない
- 利用目的達成に必要な範囲を超えて保有されている
- 利用制限に反して利用されている
- ⑵保有個人情報の提供停止
- 提供制限に反して提供されている
- ※開示を受けた日から90日以内にしなければならない
- ⑴保有個人情報の利用停止または消去
- ②相手方: 行政機関の長
- ③方式: 書面=利用停止請求書(個人情報99条)
- 利用停止請求者の氏名および住所・居所
- 利用停止請求に係る保有個人情報の開示を受けた日その他の当該保有個人情報を特定するに足りる事項
- 利用停止請求の趣旨および理由
※本人であることを示す書類の提示・提出を要する
- ④利用停止請求に理由があれば ⇨行政機関の長に利用停止義務(個人情報100条)
当該行政機関における個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な限度で
※利用停止することにより,当該保有個人情報の利用目的に係る事務の性質上,当該事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるときは,例外として利用停止せず
- ⑤利用停止等決定(行政処分)
- ⑴利用停止請求者に書面で通知(個人情報101条)
- 利用停止・消去・提供停止
- 利用停止等しない
- ⑵決定までの期間:30日以内(原則=個人情報102条・103条)
- ⑴利用停止請求者に書面で通知(個人情報101条)
不服申立て
- ①
- ⑴開示決定等・訂正決定等・利用停止決定等に対する審査請求
- ⑵開示請求・訂正請求・利用停止請求に係る不作為に対する審査請求
- ②行政不服審査法に基づくが……
- 適用除外(個人情報104条):
審理員&行政不服審査会関連規定
※審理員ではなく審査庁自体が審理を行う。
- 適用除外(個人情報104条):
- ③情報公開・個人情報保護審査会
- 情報公開制度&個人情報保護制度の専門の審査会
⇒審査庁の長は諮問しなければならない(個人情報105条)
※諮問をせずともよい(適用除外)範囲が一般の審査請求よりも狭い(105条1項1号~4号,行不43条1項)。
- 情報公開制度&個人情報保護制度の専門の審査会
行政機関匿名加工情報の利用
- 基本的な流れ
- [行政機関] 行政機関匿名加工情報利用事業の提案募集(個人情報111条)→
- [事業者] 提案(個人情報112条・113条)→
- [行政機関] 提案の審査(個人情報114条)→
- …審査基準に適合していれば… 契約締結可能通知(個人情報114条2項)
- 行政機関の長と事業者とで契約締結(個人情報115条)