コンテンツ知的財産論: 第1講
コンテンツとは何か
コンテンツとは何か
一般的意義
- 内容(物),中身
-
- the things that are inside a box, bag, room etc
- the things that are written in a letter, book etc
法律上の意義
コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律(コンテンツ促進法:平成16年法律81号)第2条 この法律において「コンテンツ」とは、映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメーション、コンピュータゲームその他の文字、図形、色彩、音声、動作若しくは映像若しくはこれらを組み合わせたもの又はこれらに係る情報を電子計算機を介して提供するためのプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)であって、人間の創造的活動により生み出されるもののうち、教養又は娯楽の範囲に属するものをいう。
2 〔略〕
※範囲の限定 = 行政施策の目的や特定のビジネス助成の目的から必要?
本講義での意義
- 上記コンテンツ促進法より広く捉える(範囲を特に限定しない)
- コンテンツのうち特にデジタル方式で創作または取引されるものを「デジタル・コンテンツ」と称するが,後述するようにデジタル方式を取ることによりコンテンツが際立つことから,一般的には単に「コンテンツ」というだけで「デジタル・コンテンツ」を指す。
コンテンツと似て非なるもの
- ⑴プログラム
電子計算機に対する指令であって,一の結果を得ることができるように組み合わされたもの(特許2条4項,不正競争2条8項,著2条1項10号の2ほか)
※プログラム自体がコンテンツである場合も考えられるが(ゲーム等,コンテンツ促進法2条1項参照),必ずしも一致しない。
- ⑵データ
プログラムによって解析・処理されるデジタルの符号。むしろコンテンツはこちらと重なる。
- ⑶ソフトウェア
プログラムや一連のデータを含むパッケージ。
- ⑷著作物
著作物性(2条1項1号)との関係は?
デジタル・コンテンツの特徴
①なぜ「デジタル」において「コンテンツ」なのか?
- 従来のアナログにおけるコンテンツは,メディアやフォーマットに支配されてこれらと一体不可分に提供されてきた(音楽コンテンツで言えばレコードというメディア)。コンテンツを複製する場合でも,送り先はカセット・テープのように定められたメディアで,これに電気信号を伝えて記録するだけであった。
- デジタル・コンテンツにあってはそのような制限はない。すなわち,コンテンツに係るデータは,メディアやフォーマットと切り離すことができる。そのようにして切り離したコンテンツ(データ)は,任意の他のメディアに複製することができたり,形式を変換して他に活用することができたり,通信回線を通じて伝達することができるようになる。それゆえコンテンツが際立つこととなる。
図) 従来のコンテンツ→
図) デジタル・コンテンツ
②「デジタル」ゆえの事由とは? ――デジタル方式にあっては,情報はことごとく 0 と 1(off/on)でやりとりされ,情報の内容それ自体の軽重はいわば無視される(=情報の等価・平等)。それに由来して以下のようなメリット(立場によってはデメリット)が考えられる。
- 再利用可能性 =複製,改変,検索が容易になる
- 伝達性 =通信技術によって,瞬時に遠くへ,また同時に多数へ伝達できる
- →遍在性(ubiquitous)
→どんな問題が起きうるか(現に起きているか)?
- 伝統的な知的財産(特に著作物)との乖離
- 利便性と権利保護とのジレンマ
- 規格やハードウェアの仕様に左右されるおそれ(de facto standard)