知的財産法(朝日大学・法学部,大阪教育大学・教育学部,奈良女子大学・理学部)
ある作品(ないし文化的情報)に著作権が存するかどうかはどのようにして判断すればいいのか。創作者自らが「これは著作物だ」と主張し,あるいはそう思っていればよいか,それとも著作権の登録をしておけばよいのか――結論はいずれも「否」。
わが国の著作権制度は無方式主義を採用しているため,作品が著作物としての要件(著2条1項1号)を満たして(著作物性を備えてさえ)いれば,すなわちそこに著作権が存することとなる。著作物性の有無は,主観的に決しうるものではなく客観的に判断される。また,確かに登録制度はあるが,これは二重譲渡等の対抗要件であったり,保護期間起算点確定のためのもので,権利発生要件ではない(特許等の産業財産権制度と異なる)。
では誰がこれを判断するのか――最終的には裁判所ということになる。すなわち,著作権存在(または不存在)確認の訴訟や,著作権侵害(を根拠とする差止請求または損害賠償請求の)訴訟において,著作物性の有無が争点となった場合に,これが裁判官によって,著作物性について争っている当事者の主張・立証に基づいて客観的に,判断される。
著作物の利用態様ごとに「支分権」として定められている。
著作財産権(著作権)には存続期間(保護期間)があり,これが満了すると著作物は公有(public domain)に帰し,自由に利用できるようになる。