サイバー犯罪に関するもの
簡単な計算をしてみましょう。――
例えば 1000人の社会(計算を楽にするためこのくらいに仮定します。)があって,そのひとりが胴元となって下順位者 3人を加入させる(ただしその次の順位者が加入した段階で最初の勧誘者が抜ける),というかたちでご質問のメールにあるようなシステムを開始したとしましょう。
――とご覧になっておわかりのように,わずか 1000人の社会ですと,先順位者 1に対して 3人ずつを加入させた場合には,第七世代で(実質的には第六世代ですでに)このシステムは破綻するわけでして,社会(母集団)の人数がいくら増えようとこの理に変わりがない(せいぜいシステムの息が長くなるというだけの話です。)ことは,ちょっと考えれば理解できるでしょう。しかし分数の計算ができない大学生がはびこっているご時世ですから,上記の計算ができない弁護士というのもいるのかもしれませんね(笑)。
ちなみに無限連鎖講防止法では,先に組織に加入した者(先順位者)とこれに連鎖して段階的に 2以上の倍率をもって増加する後続の加入者(後順位者)との間で,順次先順位者が後順位者の出捐する金品から自己の出捐した金品の価額又は数量を上回る価額又は数量の金品を受領することを内容とする金品の配当組織を「無限連鎖講」として(無限連鎖2条)規制しています。つまり,先順位者が抜けようと抜けまいと,後順位者がそれに連なる先順位者の 2以上の倍率で増加するもの(=2人以上の勧誘を呼びかけるもの)であれば本質的には変わりありません。